手に職スキルが得られることで注目されている職業のひとつ「CADオペレーター」。子育てママ歓迎の求人も多く、検討されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、一方でAIの発達によってなくなる職業ともいわれており、CADオペレーターという職種に対して批判的な意見をネットで見かけることもあります。

これから未経験で始めたい、興味があるという方からしたら不安に感じてしまいますよね。

実際、CADオペレーターって将来性がある仕事なのか?CADオペレーターとして複数社経験のある筆者が実体験を元にCADオペレーターの現実と将来性について語らせてください。

結論からいうと、CADオペレーターの将来性は十分にあり、今後も長く活躍できる職業です。一部AIに代替されてしまう範囲があったとしても、職種自体完全になくなるということは考えにくいです。

私がCADオペレーターという職業に将来性はあると主張する理由は次の通りです。

将来性がある理由①~CADを満足に使いこなせる設計者は多くない~

私は機械CADオペレーターとしてメーカー3社で2~3年ずつ経験してきました。いずれも大手の企業での派遣就業でしたのですべての企業に当てはまるわけではないですが、私が就業した職場ではCADソフトが満足に使えるレベルの設計者はほとんど居ませんでした。

使えても、「わからないこともあり時間もかかるがなんとか業務をすすめることができる」という程度。ソフトを理解して使いこなせるレベルの人は一人もみたことがありません(※盛ってないです、マジです)。

もちろん私もCADのすべての機能を使いこなせる達人というわけではなかったですが、設計者の中で私以上にCADスキルが高い人は今までたったの一人も見たことがありません。

補足ですが、もちろん設計においてCADソフトのすべての機能が必要というわけではもちろんありませんが、

機能を知って入れば知っているほど、効率的に業務をすすめられます。皆さん馴染みのあるOffice系のソフトも一緒ですよね!

さて、多くの設計者がCADを使えないのにはある決定的な理由があります。

それは、圧倒的時間のなさ!

大手企業ほどそうだと思いますが、会議、会議、また会議。「聞きたいことがあってもまた会議してるやん!」そんなことは日常茶飯事です。

また業務外の係の活動や設計業務に必要な学習、研究等、彼らは本当にいつも忙しい。

いくら簡単な操作性のCADソフトでも、習得のためにはある程度まとまった時間が必要です。

新人研修でCADの基本操作を学ぶところもあるでしょうが、実務でCADに触らないということも多く、CADの操作ができない設計者が多いのです。

そんな設計者にとってCADオペレーターは自分たちができないことをやってくれる存在なのでとても感謝される、やりがいのあるお仕事です。

将来性がある理由②~設計者の空間認知能力の課題~

これは意外な話ですが、、、3DCADのモデル作成の仕事を通してわかったことは、設計者・指示者全員が2次元の図面をもとに3次元のモデルをイメージできるというわけではないということ。

普段から3Dモデルを扱って仕事をしている人たちでも、自分でモデルを作成する機会のない人たちは2次元の図面を正しく3次元化することができなかったのです。これには非常に驚きました。無意識に、みんなできるものだと思っていたからです。

実際業務を依頼されたときに、「ここは立体にしたらどうなっているの・・・?」という質問を何度も受けました。

いくら設計者自身がCADソフトが使えたとて、まずここでつまづいていたら業務はすすみませんよね。

「空間認知能力」という表現には、CADオペ経験のない方は「なんだか特別な力なのでは?」と不安になってしまうかもしれませんが、CADソフトを専門で扱いそういう業務を重ねることでだんだんコツがつかめてきます。

実際、2次元の図面から3DモデルをイメージできなかったCAD未経験で入社した後輩がいましたが、業務を通して慣れていき私がその職場を去ったあとでも問題なく仕事を続けられていると教えてくれました。

将来性がある理由③~AIに代替できない領域がある~

冒頭でもお話した通り、AIに代替される職業の一つとしてCADオペレーターが上がっています。

確かに、2次元の図面作成において、3Dモデルがあれば簡単に図面作成ができてしまうようなソフトがもうすでに存在しますので(高価ですが)、流れ作業のように頭を使わず手順通りに編集をすすめるような業務内容の作業であればAIに代替されるリスクはあるでしょう。

しかしCADオペレーターの仕事はそんな狭い範囲に留まりません。

日々技術は進化していく中で、新しいモノが開発されていく。企業もこれまでにない未知の領域に挑戦していかねば成長はありませんよね。

そういうものの設計・開発に携わるのに、AIで容易に効率化というのは難しいのはご理解いただけるかと思います。

実際私は研究部、解析部などで設計補助員として就業してきましたが、設計の方々と思考錯誤しながらモデルを作成し、シミュレーションを行い、結果を評価してモデルに反映させる、という作業の繰り返しを何度も行いました。

使用するソフトによって特色も異なり、このソフトならこれが可能だが別のソフトなら不可能という場面もたくさん見てきました。

私が携わってきたCADの業務は、「AIによって代替」で簡単にすむような業務ではありませんでした。

こう書くとまた難易度の高い仕事内容かと思われますが、私もCADオペでのキャリアのスタート地点は「2次元でただとりこんだ下図の線をなぞる」という簡単なものでした。

なんでもそうですが、最初から特殊なことができる人なんかいません。

そこから地道に経験を積んでスキルを成長させたから、AIに代替されるような単純作業の枠を超えて活躍できるようになりました。

繰り返しになりますがCADオペレーターがAIに代替される範囲は、流れ作業のように頭を使わず手順通りに編集をすすめるような業務内容のもの。

その枠から出ることはCADオペレーターという職種を維持したまま可能です。

将来性がある理由④~人手不足~

将来性を語る上で事務職やWEB系の仕事にも言われることですが、その職種に対して人材が飽和状態であれば、今から身に着けるにはリスクがあると言えますよね。

CADオペレーターはというと、ずっと前から完全に人手不足状態です笑!これはハッキリ断言できます。

2023年、私はある企業に就業中でしたが、正社員でかつ収入UPのための転職活動のためものづくり中心の中小企業合同説明会に参加してきました。

興味のある企業5~6社程度まわり、担当者の方とお話をしてきましたが、「現職ではCADオペレーターをしていて…」と自己紹介すると必ずと言っていいほど担当者は前のめりになって聞いてくださいました。(冗談でなく目の色かわってました笑)

私は子育てしているので働く時間に融通が利きづらいことや通勤面の心配を相談したとき、「希望がきけるかもしれないので、ぜひ見学だけでもきてほしい」と言ってくださる方がほとんど。

「CAD経験のある人は貴重で…」というお話もしてくださった担当者もいたほど。

それくらい、CAD経験者の採用は難しいのです。

そんな状況の中CAD経験者を求めて採用活動を行ってうまくいかないので、未経験者でもやる気があれば、と採用する企業も少なくありません。

私は過去、派遣で3社就業経験がありますが、退職時にはいずれの会社も後任さがしに苦戦したのち、実務未経験者(CADスクール卒)やまったくの未経験者を採用していました。

もちろん、未経験者でも採用されるためには”人柄”と”やる気”が必要ですが。(※どの職種にも言える当たり前のことですよね)

CADオペレーターは将来性は心配なし!収入安定&やりがいのある仕事です!

CADオペレーターの将来性について、ネットでネガティブな情報が書かれていることもあり不安に思っている方もいるかもしれませんが、

「CADだけ操作できても…」「AIに代替されてなくなる仕事…」という意見はその人の世界から見た”イメージ”の話であることがほとんど。

私が見てきた&やってきたこととはかなり異なるものです。

CADオペレーターはまだまだ人手不足。だけど実際やってきて、きちんと稼げて設計者の役にも立てる楽しいお仕事でした。

もちろん苦しい時期もありましたが、私は10年間CADのお仕事を続けてきて本当に良かったですし、今は別のチャレンジをしている最中ですがCADスキルを持っていることは今後生きていく中でかなり心強く感じています。

手に職をつけたい、しっかり収入を確保できるようにしたい、未経験だけどモノづくりに興味がある…

CADオペレーターをやってみたい理由は様々あるかと思います。

どんな理由があれ、チャレンジすることは素晴らしい。たとえ失敗しても、それを学びにまたチャレンジすれば良いのですから。

今回の記事で、やってみたいけど迷いがある方の背中を押せたら幸いです。

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